[春秋要約170829]臍帯血をめぐる事件は再生医療への信頼を損ね、人間の尊厳をないがしろにしている。<39文字> #sjdis #sjyouyaku
2017/8/29付 その桐(きり)の小箱は、家でいちばん大切なものをしまうタンスに収められていた。子どもたちが生まれたときのへその緒である。なにかの折に、母親がめいめいの箱のふたを開けて見せて...
No time like the present!!
2017/8/29付 その桐(きり)の小箱は、家でいちばん大切なものをしまうタンスに収められていた。子どもたちが生まれたときのへその緒である。なにかの折に、母親がめいめいの箱のふたを開けて見せて...
2017/8/24付 刺し身やすしを食べるときに、小皿にどのくらい醤油(しょうゆ)を注ぎますか。まあ適当に? 気にしてない? ところが向田邦子さんは子どものころ、少しでも醤油を残すと父親にこっぴ...
2017/8/15付 終戦の日と月遅れのお盆が重なるこの時期、列島は人々の鎮魂の祈りに満たされる。無謀で悲惨だった先の戦争を振り返り、犠牲者を静かに追悼する大切なひとときだが、今年は何か心...
2017/8/13付 14~15世紀に最盛期を迎えた海洋通商国家ベネチアは、地中海沿岸の主要都市や英国などとの航路にルールを設けていた。船は国有とし、輸送料を払えば誰でも荷を積めた。料金には上限...
2017/8/7付 川路聖謨(としあきら)は末期の江戸幕府を支えた能吏として知られる。山田風太郎の言葉を借りれば、有能であったのみならず誠実で情愛深くユーモアに富んでいた。江戸無血開城が決まった...
2017/8/5付 明治20年、東洋大学の前身の私学哲学館を29歳で創立した井上円了は、全国各地への講演活動をライフワークにした。最初は寄付金集めが狙いだったが、民衆が学ぶことの大切さに目を開か...
2017/7/19付 「医」という漢字の旧字体は「醫」である。このややこしい文字は3つのパートから成り立っているそうだ。左上の「医」は隠された場所に弓矢を置いた状態。それに「殳」を加えると、矢を...
2017/7/10付 「私をスキーに連れてって」に始まる一連のホイチョイ映画は、大切な何かを「届ける」場面が見せ場になっていた。会社員が商品発表会のために、新作のスキー服を急きょ届ける。学生がミ...
2017/7/1付 熊本生まれの作家、石牟礼道子さんが最近エッセーで明かしている。「幼いころ、この世で一番えらいのは『セイショコさま』という神様だと思っていた」。道普請を請け負う「石屋」の父が畏...
2017/6/24付 「私が今死んだら、人はどう思うでしょうか」。おとつい病で亡くなったアナウンサーの小林麻央さんが、昨年つづった文の一節だ。若いのにかわいそう? そう思われたくはない。なぜなら...
2017/5/31付 民放の女性アナウンサーが以前ラジオ番組で、里帰り出産をした際のこんな話を紹介していた。自分がアシスタントとしていっしょに仕事をしていた放送作家の永六輔さんから、東北の実家に...
2017/4/12付 奈良・中宮寺に飛鳥時代の彫刻の最高傑作といわれる国宝・木造菩薩(ぼさつ)半跏(はんか)像がある。レオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザにもどこか通じる穏やかなほほ笑み、右手の指...
2017/3/23付 できることなら春に桜の花の下で死にたいものだ。お釈迦様が亡くなられたという2月の満月のころに……。西行がこんな思いを歌によんだことは、よく知られている。おどろくのは、その願...
2017/3/16付 並外れた技量や信念を持つ人は、強いオーラを放っている。1988年、米ピッツバーグ大の付属病院を訪ねた際にもそれを感じた。目立った特徴があるわけでもない一人の男性がこちらに歩...
2017/3/12付 「思い知ったか」。接待役がいきなり、大先輩に切りつけた。大事な催しの直前。江戸城内でのけんかである。大騒ぎになった。斬った赤穂の殿様は切腹となり藩はつぶれる。太平の世をあっ...
2017/3/9付 「シ、ノタマワク……」。湯川秀樹博士は子どものころ、祖父から四書五経を徹底的に仕込まれたという。意味はまるでわからなくとも、文字だけをひたすら声に出して読む「素読」だ。漢字の...
2017/2/17付 箱はふしぎだ。たいていは四角い。中に何があるのか、知りたくなる。見せてはならない大切なものだろうか。金銀財宝か。いにしえの人は魂を封じこめたり、幸福をよぶ力をおさめたりでき...
2017/1/9付 夏の朝、1機の偵察機が消息を絶った。撃墜されたようだ。第2次大戦末期、イタリアの島からフランスに向けて、地中海を飛行中だった。操縦士は仏作家サン・テグジュペリ。ナチスドイツに...
2016/12/30付 こりゃよい眺めだ。暮れの30日の屋根の上。瓦にまたがって大胆いっぷくしていれば、借金取りは今日も留守だねと帰って行く。のろのろと降りる。長いはしごを窓の敷居にのせ「子供を...
2016/12/7付 「日本も、けさから、ちがう日本になったのだ」。太宰治の短編「十二月八日」の一節である。作家の妻がしたためた日記の形で開戦の一日を描く。配給の酒を受け取り、女児と銭湯につかる...