[春秋要約170824]「食品ロス」への反省の高まりから、ものを食べ切る気持ちよさを知る時期に来ている。<40文字> #sjdis #sjyouyaku

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2017/8/24付

刺し身やすしを食べるときに、小皿にどのくらい醤油(しょうゆ)を注ぎますか。まあ適当に? 気にしてない? ところが向田邦子さんは子どものころ、少しでも醤油を残すと父親にこっぴどく叱られたという。小皿の醤油は翌日、ちゃぶ台の向田さんの前に置かれたそうである。
▼中流家庭でもこうだったから、戦前は本当に食べ物を大切にしたわけだ。「今でも私は客が小皿に残した醤油を捨てるとき、胸の奥で少し痛むものがある」と、昭和を生きた向田さんはエッセーに書いている。さて時は流れ、醤油どころか刺し身やすしだって盛大に食べ残す昨今だ。それでも現代人の胸はさほど痛まない
▼コンビニで売れ残った弁当。立食パーティーの手つかずごちそう。どんな家にも、冷蔵庫には使い残しの調味料などが眠っていよう。こういう「食品ロス」は年間600万トン余にのぼる。「もったいない」という言葉が注目されながら食のムダが膨れあがる日本なのだ。反省ムードが高まりだしたのも当然かもしれない。
▼宴会の最初30分と最後の10分は食事に専念する「3010運動」や、フードバンクへの食品寄付など試みはさまざまだ。対策法案をつくる動きもあるものを食べ切ることの気持ちよさを知る時期に来ているのだろう。向田さんが得意だった手料理のひとつに「ゆうべの精進揚げの煮付け」がある。うまいんだな、これが。

要約

[298/300文字]
向田邦子さんは子どものころ、少しの醤油でも残すと父親にこっぴどく叱られたという。
小皿の醤油は翌日、向田さんの前に置かれたそうである。

中流家庭でもこうだったから、戦前は本当に食べ物を大切にした。
時は流れ、醤油どころか刺し身やすしだって盛大に食べ残す。
それでも現代人の胸はさほど痛まない。

こういう「食品ロス」は年間600万トン余にのぼる。
「もったいない」という言葉が注目されながら食のムダが膨れあがる日本なのだ。
反省ムードが高まりだしたのも当然かもしれない。

宴会の最初30分と最後の10分は食事に専念する「3010運動」や、フードバンクへの食品寄付など試みはさまざまだ。
対策法案をつくる動きもある。
ものを食べ切ることの気持ちよさを知る時期に来ているのだろう。

[199/200文字]
戦前は本当に食べ物を大切にした。
時は流れ、醤油どころか刺し身やすしだって盛大に食べ残す。
それでも現代人の胸はさほど痛まない。

こういう「食品ロス」は年間600万トン余にのぼる。
「もったいない」という言葉が注目されながら食のムダが膨れあがる日本。
反省ムードが高まりだしたのも当然かもしれない。

「3010運動」や、フードバンクへの食品寄付など試みはさまざまだ。
対策法案をつくる動きもある。
ものを食べ切ることの気持ちよさを知る時期に来ているのだろう。