[春秋要約160923]内戦に翻弄されるシリアの人々に寄り添い、我々はどんな「平和の哲学」を創るのか。<39文字> #sjdis #sjyouyaku

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2016/9/23付

明治後半から昭和初期の哲学者、西田幾多郎の著作は、難解なタイトルでいかにも近寄りがたい。しかし、その生涯に触れ、残された短歌を読めば、家庭人としての心労がしのばれて切ない。弟は日露戦争で戦死、8人の子のうち5人を亡くし妻に先立たれている。
「死にし子と夢に語れり冬の朝さめての後の物のさびしさ」。20代で病死した長男への思いだ。ある論文には「哲学の動機は…深い人生の悲哀でなければならない」と記す。宿命に耐え内面を見つめた様子がうかがえる。思索の末にたどり着いた晩年には穏やかな日々もあった。再婚した妻と写った写真では笑顔も見せる
「深い悲哀」は世界に満ちている。その渦中で最もあえぐのはシリアの人々だろう。1週間の停戦中に、米軍が政権軍を「誤爆」して多数の兵士が死亡したとされ、期限切れ早々には政権軍による大がかりな空爆もあった。市民30万人が孤立しているアレッポの街では救援物資を運ぶ車列も攻撃されている。人道的危機だ
▼大国や各勢力が角を突き合わせるさまは時計の針が逆戻りしたかのような、領土や権益の奪い合いを思わせる。国外に逃れた人たちは480万人を超えたという。受け入れ側をも揺るがす事態だ。未曽有の内戦に翻弄される人々に寄り添い、どんな「平和の哲学」を創ることができるだろう。我々の思慮が試されている

要約

[295/300文字]
西田幾多郎はある論文で「哲学の動機は…深い人生の悲哀でなければならない」と記す。
思索の末にたどり着いた晩年には穏やかな日々もあった。

「深い悲哀」は世界に満ちている。
シリアの人々はその渦中であえいでいる。
停戦中に米軍が政権軍を「誤爆」して多数の兵士が死亡し、期限切れ早々には政権軍による大がかりな空爆もあった。
アレッポの街では孤立する市民への救援物資を運ぶ車列も攻撃されている。
人道的危機だ。

大国や各勢力が角を突き合わせるさまは、領土や権益の奪い合いを思わせる。
国外に逃れた人たちは480万人を超え、受け入れ側をも揺るがす事態だ。
未曽有の内戦に翻弄される人々に寄り添い、どんな「平和の哲学」を創ることができるだろう。
我々の思慮が試されている。

[198/200文字]
「深い悲哀」は世界に満ちている。
人道的危機の渦中であえぐシリアの人々。
停戦中の米軍による「誤爆」や、期限切れ早々の政権軍による大がかりな空爆。
アレッポの街では孤立する市民への救援物資を運ぶ車列への攻撃。

大国や各勢力の争いは領土や権益の奪い合いを思わせる。
国外に逃れた人たちは480万人を超え、受け入れ側をも揺るがす事態だ。
未曽有の内戦に翻弄される人々に寄り添い、どんな「平和の哲学」を創ることができるだろう。
我々の思慮が試されている。