[春秋要約161126]北方領土問題に世論が必要だが、日本人の「問題」と地元の「出来事」では意識が異なる。<40文字> #sjdis #sjyouyaku

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2016/11/26付

北海道の地図を広げると、知床半島と根室半島のあいだの海に北方領土の国後島が深く入り込んでいる。近いとは知っていた。けれど実際に海岸線をたどれば国後はほんとうに目の前である。海沿いを行けども行けども、この島は黒々と輪郭を見せて視界から離れない。
▼「今度こそ動きがあるんじゃないの」「まず2島か」「国後が返らないとねえ」……。たどりついた根室の居酒屋で、ロシアのプーチン大統領訪日の件を話題にしたら大いに盛り上がった。その近さゆえ、北方領土の歴史や現状についてみんなとても詳しい。島々の位置関係さえおぼろげな、われら旅人と雲泥の差である。
▼多くの日本人にとって北方領土は頭のなかの「問題」だが、この地域では目と鼻の先の「出来事」だ。納沙布岬から歯舞群島の貝殻島までわずか3.7キロメートル。ふるさとを追われた人々がいまも島を望んで暮らし漁船は不自由な操業を強いられているロシアが国後にミサイル配備などという話は人々の心を凍りつかせる
▼「必要なのは日本中の世論。もっと領土のことを知ってもらわないと」。岬の啓発施設「北方館」の小田嶋英男館長は、地元と全国との意識ギャップを心配する。折しも返還運動の立役者だった小泉敏夫さんが亡くなるなど、元島民の生の声は絶え絶えだ。歯舞、色丹、国後、択捉――。地図から叫びを聞かねばならない。

要約

[284/300文字]
知床半島と根室半島のあいだの海に国後島が深く入り込みほんとうに目の前である。
海沿いを行くとこの島は視界から離れない。

その近さゆえ、地元の人は北方領土の歴史や現状についてとても詳しい。
われら旅人と雲泥の差である。

多くの日本人にとって北方領土は頭のなかの「問題」だが、この地域では目と鼻の先の「出来事」だ。
ふるさとを追われた人々がいまも島を望んで暮らし、漁船は不自由な操業を強いられている。
ロシアが国後にミサイル配備などという話は人々の心を凍りつかせる。

「必要なのは日本中の世論。もっと領土のことを知ってもらわないと」。
地元と全国との意識ギャップを心配する。
返還運動の立役者が亡くなり、元島民の生の声は絶え絶えだ。

[198/200文字]
知床半島と根室半島のあいだに深く入り込む国後島は海沿いを行くと視界から離れない。

多くの日本人にとって頭のなかの「問題」だが、地元では目と鼻の先の「出来事」だ。
ふるさとを追われ島を望んで暮らす人々、不自由な操業を強いられる漁船。
ロシアが国後にミサイル配備という話は人々の心を凍りつかせる。

領土のことを知ってもらい日本中の世論が必要だが、地元と全国との意識ギャップがある。
返還運動の立役者が亡くなり、元島民の生の声は絶え絶えだ。