2016/9/5付
日本の本格的なハイテク犯罪の第1号は、35年前のきょう発覚した旧三和銀行の巨額詐欺事件だという。
大阪の支店に勤めていた女子行員がオンラインシステムを悪用し、別の支店に開いた口座に入金があったように入力する手口だった。犯行は世間を大いに騒がせた。
▼銀行を抜け出した行員は操作した先の支店を回り、現金を引き出すと、その足でフィリピンへと高飛びする。まさに日本社会のコンピューター化、国際化を象徴する事件だったわけだ。逃亡先で語った「好きな人のためにやった」は流行語にもなった。この事件を受けて、監査の徹底や社員教育などの防犯対策が叫ばれた。
▼昨今の情勢を見ると、昭和期に耳目を集めたハイテク犯罪が、のどかにさえ感じる。標的型メールにランサムウエア、Tor(トーア)にダークウェブ……。インターネットの犯罪に関する新しい用語をようやく覚えたと思ったら、もう次の用語が現れているといった具合だ。対策をとる難しさを象徴しているようである。
▼犯行を仕掛ける者たちの顔は見えず、被害に遭ったことさえ気づかないことも少なくない。なにしろ国家や軍が背景にちらつく大がかりで巧妙な犯行もあるのだ。日本の犯罪は13年連続して減り続けている。だがそれは目に見える世界の話であって、実はネットの社会へと悪意が次々引っ越しているだけなのかもしれない。
要約
[298/300文字]
日本の本格的なハイテク犯罪の第1号は、35年前の旧三和銀行の巨額詐欺事件だという。
日本社会のコンピューター化、国際化を象徴する事件だった。
この事件を受けて、監査の徹底や社員教育などの防犯対策が叫ばれた。
昨今では、インターネットの犯罪に関する新しい用語をようやく覚えたと思ったら、もう次の用語が現れ、対策をとる難しさを象徴しているようである。
犯行を仕掛ける者たちの顔は見えず、被害に遭ったことさえ気づかないことも少なくない。
なにしろ国家や軍が背景にちらつく大がかりで巧妙な犯行もあるのだ。
日本の犯罪は13年連続して減り続けている。
だがそれは目に見える世界の話であって、実はネットの社会へと悪意が次々引っ越しているだけなのかもしれない。
[200/200文字]
日本の本格的なハイテク犯罪の第1号は、35年前の旧三和銀行の巨額詐欺事件。
これを受けて、監査の徹底や社員教育などの防犯対策が叫ばれた。
昨今では対策をとるのが難しい。
犯行を仕掛ける者たちの顔は見えず、被害に気づかないこともある。
国家や軍が背景にちらつく大がかりで巧妙な犯行もあるのだ。
日本の犯罪は13年連続して減り続けているが、それは目に見える世界の話であって、実はネットの社会へと悪意が次々引っ越しているだけなのかもしれない。